エアコンを選ぶとき、まず目に入るのが「6畳用」「14畳用」といった表示です。「部屋の広さに合わせて選べば大丈夫」と思っている方も多いのではないでしょうか。
実はこの畳数表示は、今の住まいとはずれがあると国の資料でも指摘されている目安です。この記事では、畳数表示のしくみと、今の住まいでの考え方をやさしく解説します。
「◯畳用」はどうやって決まっている?
カタログの畳数は、JIS(日本産業規格)で決められた平均的な住宅を前提にした目安です。メーカーの説明では、前提は「木造・南向き・洋室」の住宅とされています。
- 1畳の大きさは中京間(1.82m×0.91m)が基準
- 冷房と暖房で、それぞれ別の畳数が書かれている
- 天井の高さ、窓の大きさや向き、断熱の性能は、家ごとの違いを考えていない
つまり畳数表示は「この家ならこの広さまで」というひとつの物差しで、あなたの家の条件を測った数字ではありません。
「6〜9畳」の幅は何を表している?
畳数表示には「6〜9畳」のように幅があります。これは住宅の構造の違いを表しています。
| 表示の数字 | 想定している部屋 |
|---|---|
| 小さい方(例:6畳) | 木造の平屋・南向き・和室 |
| 大きい方(例:9畳) | 鉄筋の集合住宅・南向き・中間階・洋室 |
鉄筋コンクリート造の住宅は、木造より気密性が高く熱が逃げにくいため、同じ能力でも広い部屋に対応できる、という考え方です。
なお「6〜9畳」は、6畳から9畳の部屋ならどれでも使える、という意味ではありません。木造なら6畳まで、鉄筋なら9畳まで、というそれぞれの上限です。
畳数の目安と今の家には「ずれ」がある
畳数の目安の考え方は、長いあいだ大きくは変わっていません。一方で、住宅の断熱性能はこの数十年で大きく良くなりました。
国の審議会の資料でも、住宅の断熱性能が上がったことなどで、畳数の目安が想定している冷暖房の負荷と、実際の住まいとの間にずれが生じていると指摘されています。
今の家は、熱が逃げにくくなっている
住宅の断熱は、国の省エネ基準とともに段階的に良くなってきました。
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1980年 | 最初の省エネ基準ができる |
| 1992年 | 基準が強化される |
| 1999年 | さらに強化される(いわゆる次世代省エネ基準) |
| 2025年4月 | 新築住宅は省エネ基準を満たすことが義務になる |
建てられた年が新しいほど、壁や天井の断熱材が厚くなり、複層ガラス(ペアガラス)の窓も増えています。熱が逃げにくい家では、同じ広さでも必要な能力が小さくて済むことが多くなります。
国の研究機関である建築研究所は、断熱性の高い住宅で、エアコンの能力を変えたときの電気の使用量と快適さを計算しています。
| 能力の選び方 | 結果(建築研究所の計算) |
|---|---|
| 畳数の目安どおり | 基準 |
| 畳数の目安より1ランク小さい | 能力が足りない時間はほとんど増えず、年間の消費電力量が約20%減った |
| 2〜3ランク小さい | 消費電力量はさらに減るが、能力が足りない時間が増えた |
※ 断熱等級4相当の住宅での計算結果です。地域や間取りなどの条件が変われば、結果も変わります。
「小さくするほど良い」わけではなく、家に合った能力を選ぶことが大切だということがわかります。
畳数どおりに選ぶと、どうなる?
断熱性の高い家で、畳数表示どおりに大きめの機種を選ぶと、次のようなことが起こりがちです。
- 本体価格が高くなる:能力が1段階上がるだけで、価格が数万円上がることもあります
- 効率が落ちることがある:すぐに設定温度に届き、弱い運転や運転のオン・オフが増えると、本来の効率を出しにくくなる場合があります
- 電源工事が必要になることがある:能力の大きい機種には200Vの電源が必要なものがあります
逆に、大きめが必要な部屋もある
一方で、次のような部屋は畳数表示より大きな能力が必要になることもあります。
- 西日が強く当たる部屋や、窓が大きい部屋
- 戸建ての2階やマンションの最上階など、屋根から熱が入りやすい部屋
- キッチンとつながったLDKや、吹き抜け・階段とつながった部屋
- 断熱の工事をしていない、古い住宅
- 冬の寒さが厳しい地域で、暖房をメインに使う部屋
「畳数より小さくていい」も「畳数どおりで足りる」も、家の条件しだいということです。
ちょうどいい能力を考えるには
必要な能力は、広さだけでなく、次のような条件の組み合わせで決まります。
- 住んでいる地域(夏の暑さ・冬の寒さ)
- 建てられた年と構造(断熱の性能)
- 窓の向き・大きさ・ガラスの種類
- 部屋の階や、外壁に面している面の数
- 部屋の使い方(寝室か、LDKか、など)
当サイトの無料の診断では、こうした10の質問に答えるだけで、冷房・暖房に必要な能力(kW)の目安が分かります。計算の考え方は計算方法のページで紹介しています。
まとめ
- 畳数表示は、JISで決めた平均的な住宅を前提にした目安
- 「6〜9畳」の小さい数字は木造、大きい数字は鉄筋の住宅向けの上限
- 国の資料でも、畳数の目安と今の住まいの間にずれがあると指摘されている
- 断熱性の高い家では、畳数より1ランク小さい能力で足りることがある(小さくしすぎは逆効果)
- ただし西日の部屋やLDKなどは、大きめが必要なこともある
畳数は「最初の目安」として見つつ、自分の家の条件から必要な能力を考えるのが、ちょうどいい1台を選ぶ近道です。
参考